北方領土問題のロシアの主張
目次
北方領土問題でロシアと日本の主張の違いについて調べてみました。
北方領土問題の日本の主張
北方領土は「日本固有の領土」で、日本政府はロシアによる「不法占拠」だと主張しています。
基本的なことですが、なぜ不法占拠なのか、日本人でも意外なほど知らない人が多いので、まず日本の主張を簡単に確認してみましょう。
2島返還、4島返還などの問題は別として
ソ連は、日ソ中立条約を無視して1945年8月9日に対日参戦した。
しかも日本がポツダム宣言を受諾した後、日本軍の武装解除後に改めて攻めてきて、降伏した後まで攻撃して、北方四島を不法占領し領土を奪ったのは不当だ。
というものだと思います。
日ソ中立条約は、1941年4月25日発効,1946年4月24日まで5年間有効で、相互不可侵、一方が第三国に軍事攻撃された場合に、他方の中立などを取り決めたものでした。
そして、日本が降伏文書に署名したのが9月2日で、連合国に対する降伏文書の調印式が行われ、すべての戦闘が終結しました。
ソ連はそれ以降も攻撃をやめず、9月5日までに北方四島を占領しました。
北方領土問題のロシアの主張
ロシアの主張というのはたいていは、「戦争の結果によるものだ」の一点張りというような話が多いと思います。
それだけではどういう意味かよく分からない方も多いと思いますし、なぜ日本を攻めたのかなどのロシアの主張はあまり聞くことがないと思いますので、まとめてみました。
戦争に負けたのだから文句を言うな
一番よく聞くロシアの主張は日本は第2次世界大戦の結果を認めるべきだというものです。
これは、戦争で日本は負けた、北方領土は戦争で勝ったソ連が獲ったのだからその結果を認めろということですね。
戦勝国に対して、敗戦国は異議を唱える資格がないと言っているわけです。
こういうと、非常に乱暴な言葉に聞こえますね、しかも武力による他国への不当な侵略はだめに決まっています。
でも、ロシアという国は今でも武力で侵略しようとしますし、以前は多くの国が軍を派遣して領土を広げていった歴史がありますね。
当然ロシアもそうやって国土を広げてきています。一時はアラスカまでロシア領だったほどです。
領土というのはそういうものだと考えているというのは不思議ではありません。
そして北方領土を奪ったのが、不当な侵略と思っていない理由は次のようなものです。
イギリスとアメリカの約束でドイツの同盟国を攻めただけ
そして、ソ連が日本を攻めたのは、ヤルタ会談でイギリスとアメリカに頼まれたからで、そもそも日本はソ連を攻撃してきたドイツの同盟国だったのだから日本を攻めるのは仕方ないだろうというようなものです。
ロシアの主張の中に必ず出てくる「ヤルタ協定」について簡単に確認してみます。
ヤルタ協定では、ドイツが降伏し、かつ、欧州における戦争が終了した後2か月又は3か月に、ソ連は連合国に味方して、日本国に対する戦争に参加することを協定しています。
その時のソ連の参戦の条件に、日本の敗戦において、樺太の南部とこれに隣接する諸島はソ連に返還され、千島列島はソ連に引き渡されるという内容が含まれていました。
つまり、ロシアの主張としては、
ヤルタ協定で、アメリカとイギリスに頼まれて参戦した。そして第二次世界大戦の結果、北方四島はロシアの領土になったのだから、日本は戦争の結果を認めるべきだ。
というものです。
北方4島は千島列島に含まれていませんし、それ以前にヤルタ協定は日本と関係ない国の代表が勝手に話し合ったものです。
そこにの本と中立条約を結んでいるソ連がいて、条約を破って対日参戦することや日本の領土の事を決めているのがおかしいわけで、日本がそれを認める理由があるとは思えません。
ロシアの人は北方領土を返せと言われる理由がわからない
日本は敗戦国になったため、戦勝国によるプログラムで、日本が一方的に悪かったというような自虐的な教育が多くされてきたことが知られていますが、戦勝国でそのような自虐的な教育がされることはないでしょう。
むしろ、自国の行為はすべて正当化して国民に説明され、説明できないようなことをしていた場合は隠されていることが往々にしてあります。
そう考えると、日ソ中立条約の有効なうちに攻めてきた事や、日本がポツダム宣言受諾し、連合国に対する降伏文書の調印式が行われ、てからも攻撃をやめず北方領土を奪ったというようなことについては、今の日本人でも知らない人が多くいるくらいですから、今のロシアの多くの人はそもそも知らないのはな当然です。
つまり、ロシアの人の多くは、日本は何で北方領土を返せというのかわからないというのが本当のところのようです。
日本としてしっかり説明するべきことがあるはず
以上のようなロシアの主張があり、「日本がなぜ北方領土を返せというのかわからない」というようなロシアの人が多いと思われます。
もっと言えば、日本人にもよくわからない人が多い、という事は北方領土問題を解決するうえでは大きな問題ではないかと思います。
日本政府はロシアの人や世界に向けて、また自国民にも、自国の主張を言って終わりにせずに、もう少しわかりやすくロシアの主張やそれに対する答えを積極的に発信したほうがいいのではないかと思います。
外務省のホームページを細かく見れ色々とわかるのですが、そんなことをする人は日本人でもほとんどいないのですから。
例えば
ヤルタ会談は他国の土地を勝手にやると言っているだけ
ロシアの主張で必ず出てくる、ヤルタ協定は、昭和20年(1945年)の2月11日に、アメリカ合衆国のフランクリン・ルーズベルト、イギリスのチャーチル、ソ連のスターリンが、ソ連にある保養地ヤルタに集まって取り決めした秘密協定で、翌年(1946年)の2月まで秘密にされていました。
つまり、日本とは関係ない国が、内緒で勝手に日本の領土のをソ連にやるという話しをしていたという事です。
それを日本に認めろと言うのが正当な主張とはならないのはだれでもわかると思います。
日ソ中立条約を破って参戦、武装解除後に戻ってきて占拠は強調する
ソ連が日ソ中立条約を破って対日参戦したこと。
さらに、日本が8月15日にポツダム宣言を受諾し、日本軍の武装解除をした後に、一度引き返したソ連は改めて戻ってきて8月28日から9月5日にかけて占拠したことなどは日本人でも知らない人が多くいるのですから、政府は機会があるごとに積極的に発信するべきだと思います。
日本は日ソ中立条約を破っていない
ソ連を攻めていたドイツと日本が同盟国だったから対日参戦したというロシアの主張も、理由はどうあれ、日本は日ソ中立条約を守りました。
日ソ中立条約を破ってソ連を攻め、ドイツと日本でソ連を挟み撃ちにするような事はしていないわけです。
そして、ソ連は日本政府に対して日本が中立条約に違反しているとの抗議を一度もしたことがないようです。
こういったことから、日本がドイツと同盟国だったからと言って中立条約を破って対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾し武装解除させた後に占領したのは正当化できないはず。
実際に変換されるような状況にはないわけですが、せめてこういったことを、広く伝えていって、多くの人が考えるようになれば何かの力にはなるのではないと思います。